スマホ依存から脱却して、賢く生きる

毎晩、寝る前に30分は本を読むようにしております。
そして最近読了した本、それがアンデシュ・ハンセンさん著書のスマホ脳



著者のアンデシュ・ハンセンさんは、精神科医でストックホルムのソフィアメット病院で勤務しながら執筆活動をしている人なんだそうです。精神科医の方が書いているものなんですね。


それはさておき「スマホ脳」って単語が気になりすぎてつい手に取ってしまいました。
スマホ脳という言葉から連想されるスマホ依存…、私にとって気になるにワードとして引っ掛かりました。


日常で、それは感じることができます。
電車でふと周りを見回してみると、多くの人は寝ているか、スマホを見ているかの2択に分かれます。


ほんの20年前なんかは、電車に乗車している人はどう過ごしていたんでしょうか。
スマホに変わるものとして新聞だったのかな…


さて、このスマホ、便利なので皆さん日々使っていると思いますが、どうやら私たちはこのスマホに依存し過ぎてしまっているようです。そして私たちはバカになってきてさえいると言うのです。


確かにSNSとか見る必要ないと言えばないときでも、ついつい見てしまいますよね。
それがもう依存なんだとか…でもそれがバカになる要因だなんて…もはや衝撃です。


本書を読むことで、スマホ依存がいかに危険なものなのかを知ることができます。
ここでは掻い摘んで、このスマホ脳の中で個人的に面白かった内容を掻い摘んで紹介したいと思います。

ドーパミンが過剰に分泌される現代


先の電車の例もそうですが、その他、外食先のレストランやカフェでもその待ち時間にスマホを見ている人がたくさんいます。それはなぜなのでしょうか。


それはスマホに依存しているからです。
では、なぜ依存してしまうのでしょうか。


本書によるとその理由は、ドーパミンが刺激されるからです。
待って、ドーパミンってなんだろう…


ドーパミンは神経伝達物質で、アドレナリン・ノルアドレナリンの前駆体です。簡単に言うとすると、「快感や多幸感を得る」、「意欲を作ったり感じたりする」、「運動調節に関連する」といった機能を担う脳内ホルモンのひとつです。

教えて!認知症予防


なるほどドーパミンそのものの効果は、快感や多幸感を得ることから、良い物質であることがわかります。


実際、認知症予防のためにも意識的にこのドーパミンを増やす試みもあるみたいですから、良いものであることには間違いありません。


しかしながら、スマホは、このドーパミンを巧みに利用し、その使用者を依存させるのです。


スマホのアプリで、例えばLINEなどを想像してもらうとわかりやすいかと思います。
通知が来るとついつい「何だろう」と注意が惹かれて確認したくなりませんか?


私たちは、LINEの通知を見ると、何か「良い知らせ」があるかもしれないと期待してしまいます。
その時、ドーパミンは分泌され、見たいという意欲が掻き立てられているというのです。


心理学で、「スキナー箱」と言われる実験があるのですが、スマホのアプリはこれをうまく利用しているのです。


スキナー箱とは…空腹のネズミを箱(押すと餌が出るレバーのついた箱)に閉じ込めておいて、ネズミが偶然レバーを押して餌を得ると、次第にレバーを押す行動が増えることを示した実験です。


この時、連続でレバーを押して、押すたびに餌を出すことを「連続強化」、ランダムで餌を出すことを「部分強化」なんて言いますが、ポイントは後者の部分強化です。


この部分強化をすると、ネズミは餌が出なくなってもレバーを押し続けるようになります。


この実験は、サルでも行われており、そこでわかったことは、部分強化のほうがドーパミンの量が増加すること、そして餌(報酬)ではなく、報酬を得るための行動選択時にさらに増えるということです。


スマホのアプリもこの部分強化を巧みに利用しているのです。


スマホのLINEで「新着メッセージがあります。」と通知されたとき、スマホを起動してアプリを立ち上げるまでは内容がわかりません。わからないので、それが良い通知であるかもしれないし、どうでもよい通知かもしれません。良い通知がレバーだとしたら、良い内容は餌、どうでもよい内容は餌ではないと考えるとわかりやすいかもしれません。…つまりは部分強化されているのです。

IT企業トップは子供にスマホを与えてない


この本の見出しにもなっているのですが、「IT企業トップは子供にスマホを与えない」のだそうです。
マイクロソフトのビル・ゲイツはそうしていたのだと…彼は子供が14歳になるまではスマホを持たせなかったのだそうです。



彼に限らず、あのアップル社のスティーブ・ジョブズもそうだったのだとか…
今やスマホと言えば、iphoneと言っても過言ではない位に普及いているアップル社iphone。
その代表的な人が子供にスマホを持たせていなかったというのです。


IT企業トップが、子供にスマホを与えない…
子供にとってスマホは有害になることを認識していたのかもしれません。


確かに子供がスマホに依存してしまって、勉学を疎かにしてしまう…なんてこともあるのかもしれませんよね。

眠れなくなり、うつになりやすくなる?


本書では、スマホによって睡眠の質が下がると言っています。
その理由にブルーライトが挙げられています。


私はブルーライトカット眼鏡をしているので、その存在自体は知っていますが、どういう理屈でそれが眠れなくなるのかはあまりよく知りませんでした。


どうやらブルーライトには、メラトニンの分泌を抑える効果があるようです。
メラトニンとは何なのか…


体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。朝、光を浴びると、脳にある体内時計の針が進み、体内時計がリセットされて活動状態に導かれます。また、体内時計からの信号で、メラトニンの分泌が止まります。メラトニンは目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌されます。 徐々にメラトニンの分泌が高まり、その作用で深部体温が低下して、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。

「体内時計と睡眠のしくみ」武田薬品工業株式会社


私たちが夜眠くなるのは、メラトニンが正常に作用しているからということがわかります。
夜寝床でスマホを弄ってしまうと、ブルーライトによってメラトニンが抑制され眠くなくなってしまうわけです。


体が疲れていて、くたくたなんて時はスマホを見ていても途中で眠くて寝てしまうのですが、確かに休日の夜なんかにスマホ見ているとだらだらと夜更かししてしまうなんてこと、ありますよね。


ブルーライトによってメラトニンの分泌が抑制されると言いますが、具体的には2~3時間程度、体内時計が巻き戻るのだそうです。


例えば、メラトニンが正常に分泌される状態であれば、22時に眠くなるとした場合、夜ブルーライトを浴びていたとすると、1時くらいにならないと眠くならないなんてことも起こりうるわけです。


確かに私の寝る時間ってだいたい0時~1時ですね。
頑張れば22時には床に着ける環境であるにも関わらず…です。


寝る前にスマホを見ていると、どんどん眠りにつく時間が遅くなります。
スマホによって睡眠不足になってしまうわけです。


すぐ手に入る報酬ばかり求めるようになる


「今、お菓子を1個あげてもいいけど、4時間までば2個あげるよ」
この問に対して、4時間待つことができることは非常に重要な能力だといわれています。



1個よりも2個もらうために15分待つことができる4歳児は基本的に、数十年後に学歴が高くいい仕事についていると本書では述べています。


スマホは、このご褒美を待てなくさせていると言われています。
それもそのはず、スマホはご褒美で溢れています。数時間待ってもご褒美が増えるわけでもなく、SNSであればレスポンスが遅いだとか、情報を見失ってしまうだとか、我慢することで得られるメリットがあまりありません。


報酬を先延ばしにできないと、上達に時間がかかることが学べなくなると言います。
例えば、クラシック系の楽器を習う生徒の数が著しく減ったと本書では書かれています。


私も小学、中学のときにピアノを習っていましたが、上達には根気がいる習い事だったと思います。
そしてその当時は、携帯電話を持っていなかったなあ…と。ましてやスマホという概念すらなかったですからね。



今の世の中本当に便利になったと思います。
それは私が大人だから、そしてスマホのなかった世の中を知っているからそう言えるのだとは思います。


だからと言って、スマホを全面的に否定するつもりはありませんが、それを使うことによって報酬を我慢する力がなくなってしまうことも理解して、注意して使うようにしたいと思います。


スマホの用途を決めておこう


本書を読むと、スマホに入っているアプリの多くはドーパミンの分泌を利用して、巧みに人の注意を引き付けていることがわかります。


しかしながら、スマホには生活を豊かにしてくれるアプリや機能もたくさんあります。
例えば、決済アプリや電話機能、メモ等々。


用途によっては、使わないと損をするといっても過言ではないものもあります。
それをつかったからといってスマホ依存…というのはあまりにも乱暴なので、私なりにスマホの使用ルールを決めようと思いました。


例えば、スマホにゲームアプリはいれない。
SNSアプリはいれない。


この2つは、時間を潰すにはうってつけだと思います。
でも、35歳までに1000マンを貯めるのであれば暇つぶしをしている場合ではないですからね…


それこそ報酬を我慢して、5年という根気のいる期間を設定したわけですから…
本書はスマホの使用に警鐘を鳴らすだけではなく、スマホとの上手な付き合い方を見つけるためにうってつけの本だと思います。


ぜひとも、この本を多くの人に読んでもらいたいと思います。